アカマツギタープロジェクト2018 Season

製品版完成・近日発売開始!!


松本市内にある芥子坊主山にある「松くい虫被害のため、伐採せざるを得なくなってしまったアカマツ」を使用したエレキギター。2017年11月に完成した「Surf Breaker」と今年2月に完成した「Parrot」2モデルを基本として、仕様を最適化した製品版を少数ながら発表する運びとなりました。

6月上旬以降、順次全国の楽器店様へ出荷される予定になっています。お近くでお見かけの際はぜひお試しください!

 

これまでの振り返り

株式会社ディバイザーの経理部長・佐藤忠の提案によって、この「アカマツギター」が完成しました。(詳しくはプロジェクトレポート第1回を参照ください)
1本目に完成したSurf Breakerは、製作している間「本当に形になるか分からない」という気持ちを持ちながらも、結果的にはベストな形に仕上がり、これをもって多くの地元メディアに取り上げていただく機会をいただきました。

2017年12月5日に信濃毎日新聞へ掲載、その後立て続けにSBC信越放送テレビ番組、ラジオ番組、読売新聞全国版(夕刊)ほかへ取り上げられ、長野県や地元に住まう方にとって「松くい虫被害」や松の有効利用について関心が非常に高いということを改めて実感することとなりました。

社内でもこの結果を予想していた人間はおらず、反響の高さを少しずつ実感していくような時間を過ごします。

2018年4月13日付・中日新聞長野版朝刊に掲載

 

しかし、反響が大きいと言っても、まずはギターを展示して、情報を発信しただけのこと。次のステップとしては実際に製品として発売・流通し、ギタリストの方にこのギターで演奏してもらえるような状況をいかに作るか、ということにあると思います。
単に環境問題を提起するだけのパフォーマンスではなく、メーカーとして製品という形に落とし込んで、人に触れてもらうことに意味がある、という事を改めて認識し、2018年度のプロジェクトがスタートしました。

 

2回目の伐採:2018年2月16日

2017年3月に初めてアカマツを目の前にしたとき、それは既に伐採されていて丸太を切り出し、製材することからスタートしました。しかし、2年目となる2018年、松本市岡田財産区の方のご協力のもと、まさに伐採する現場に立ち会うことができました。

10メートルにも達するかという高さの木を切り倒すことは、想像以上に危険で、大規模で、そして考えさせられるものがあります。
チェーンソーを使い、まず切り倒す側の幹を大きく切り取り、続いて逆側から刃を入れます。楔を使いながら徐々に刃を進めると、ある一点で大きな音を立ててアカマツが倒れました。

 


倒れて地面に枝が打ち付けられたとき、松くい虫の影響によるものなのか、もろく砕け散った様に見えたことが目に焼き付きついています。虫がつかなければ、この先もこの芥子望主山で松本平を見下ろしていたのかもしれないと思うと、百年を超えるであろうこのアカマツの命が絶えてしまった。という現実をまざまざと実感します。
改めてこの木を良いギターに生まれ変わらせたいという決意を新たにします。

切り倒されたアカマツは数名の技術者の方たちの手で細かく分けられていきます。つい先程倒れたときの印象がオーバーラップしつつ、切り分ける様子は弔っているようでもあり、マグロの解体ショーのようでもあり、不思議な気持ちです。

 

アカマツギターは木材のサイズや虫食いが発生している性質上、これまで製作した2本のアカマツギターは通常避けられる「節」や「虫食い穴」、「シミ」をギター全面に取り入れ、それを外観上の特徴にしてしまうデザインです。
アカマツの原木に触れることが2回目となる今回、1回目の製材の経験を踏まえて「どこを使えば面白い木目になるだろう」という感覚で木を見ていました。


松本市岡田財産区議長・ディバイザー経理部長の佐藤忠


有限会社飛鳥・加工担当 高取裕二。アカマツギタープロトモデル2本の製作を担当。


有限会社飛鳥・アコースティックギター製作担当 安井雅人

切り出した丸太の中から太い幹部分を幾つか確保し、製材所へ移動します。
ここまでの伐採から運搬まで、全面的に松本市岡田財産区の皆様に進めていただきました。ギターが完成するまでに多くの人の力が積み重なっていることを改めて実感します。

製材所へ:2018年2月22日


伐採から数日後の22日、松本市のとなり安曇野市でアカマツを製材しました。
去年は持ち込んだ丸太10点ほどの一つ目を製材している最中から、「この木使うの。。?」「もう製材しなくてよくない?」という方向に話が進み、板にして4枚程度で切り上げてしまった製材の現場。

実際あの時点で木材をギターに出来るかどうか不明でしたし、立ち会ったスタッフ誰もが「正直形にするのは難しい」と思っていました。

ただ、その後の経過は既にお伝えしているとおり、実際に形にして、一定の注目も浴びています。事実製材にご協力頂いた木材業者の方も口々に「ニュース見たよ」「あのアカマツがギターになって注目されるなんて、信じられないなぁ」「木の見方が変わったよ」といった言葉を口にしていました。

樹齢100年を超えるであろう大型の丸太を製材することは非常に骨の折れる作業ですが、ギターにして数十本取れるほどの分量に製材を進めました。
改めて製材された板を見ると去年とは全く印象の異なる木目が出てきました。これが2018年のアカマツギターになる板たちです。

 

乾燥・製作:2018年3月中旬〜

製材された木材は飛鳥ファクトリーへ移動し、保管します。(当然去年の例にならい、万が一虫が他の木材ストックに移らないように隔離しました)
3月12日頃から人工乾燥機に入れられ、製作の時を待ちます。

 

2017年度のアカマツを素材とする新作「Parrot」の完成

2018年版アカマツギターと平行して、新型シェイプ「Parrot(パロット)」を製作しており、3月に完成しました。Surf Breakerと同じ大振りなヘッドシェイプに、シングルカットのボディで、フロントピックアップにはCharlie Christianタイプのものを採用。Surf Breakerとはまた少し違う、太く暖かみのある甘いトーンで、アカマツギターのサウンド面での完成度が一層高まったように感じます。
Surf Breakerでは木目の色合い、コントラストを引き立てるためにあえてブルー系のカラーリングを施しましたが、Parrotでは安定のレッド系カラーを採用。事実ルックスもアカマツの特徴を生かしながら、雰囲気に馴染む、親しみのわくギターに仕上がりました。

 

製品版の発表:2018年5月末

Parrotの完成を持って製品版のラインナップもこの2モデルで確定しました。しかし、実際に発売するためには決めなければならないことやハードルが多数存在します。価格はどうなるのか、いつ発売できるのか、プロト版と製品版の生産上の違いを明確にして、どこを削ぎ落とし、どこを採用するのか、といったことです。

2018spring Deviser Special Collection・ディバイザー大商談会2018にて取引先様へお披露目することが決まっています。
お披露目から数週間中に随時製品出荷予定にて進んでおります。ギタリストの皆様におかれましては製品版の発表をどうぞお楽しみにお待ち頂ければと思います。

 

冒頭にお伝えしましたとおり、このアカマツでできたギターはあくまで「ギター」であり、人に弾いてもらうことによって初めて本来の意味を成します。メーカーとして自信を持って今回のアカマツギターを発表いたします。節があったり、穴があったり、もちろん一本一本木目も全然異なってしまうギターではありますが、これがこれで一つの個性として伝われば、ギター選びの選択肢も広がり、価値観が変わるかもしれません。
たまたま松本市の山に育ったアカマツ。松くい虫という病に侵され、切り倒されることになりましたが、ここでギターという形に生まれ変わりました。ぜひ手にとって思い思いの音楽を演奏頂ければと思います。

 

 

JRP Guitarsブランド

 
今後、このアカマツギタープロジェクトに端を発する松本産アカマツを使用したギター製品を「JRP Guitars」として発表いたします。松くい虫の被害にあい、やむを得ず伐採せざるをえなくなってしまったアカマツを使用し、楽器として生まれ変わらせることで、長く人の生活に寄り添う存在になるよう不定期に取り組んでまいります。

 

アカマツギタープロジェクトウェブサイト
http://www.deviser.co.jp/content/jrpguitars