桜を使ったギター作りを続けてきたMomose Custom Craft Guitars。今回製作した特別モデルはボディだけでなく、初めてネックにも桜の木を使用しました。さらにボディとヘッドに、長野県軽井沢町の伝統技術「軽井沢彫」を施し、一層桜の趣をギター全体で表現した特別なモデルです。
ギター作りと軽井沢彫というそれぞれの技術を掛け合わせることで、ただの工業製品ではない、これまでになく「ギターが人の手を介して作り上げられている」という雰囲気がただよう楽器らしい楽器、ギターらしいギターが完成しました。


今回のモデルにはボディのエルボー部分とヘッドトップに「軽井沢彫」という彫刻が入れられています。図案を書き起こした後、木部を削る作業は一本一本すべて手作業で行われます。熟練の技術から入れられた彫刻に個体差は全く感じられず、極めて高度な緻密さを持って描かれていますが、一方で近づいて見ると、手仕事ならではの線の柔らかさ、しなやかさが感じられます。


長野県軽井沢町に伝わる技法「軽井沢彫」は100年を超える歴史があります。軽井沢は明治時代の中頃から外国人宣教師や外交官などによって避暑地として別荘が建てられてきました。その外国人の別荘用として使われた草花の華麗な彫刻を施した洋式家具を軽井沢彫と呼んでいます。
初期の頃、彫刻のモチーフは松、竹、梅、牡丹、菖蒲、菊など日光彫の影響を受けたものでしたが、明治時代末期からは外国人の要望を取り入れて満開の桜の樹が取り入れられるようになりました。
1960年代の高度成長期以降は、需要もさらに広がりはじめ、1983年には長野県知事の指定する伝統的工芸品の指定を受けるに至りました。


本モデルで入れられた軽井沢彫は1947年創業の工房「軽井沢彫シバザキ」の職人の方によるものです。軽井沢彫シバザキは軽井沢彫の歴史の一翼を担い、その技術の高さのみならず、新しいものを積極的に取り入れる柔軟性を持つ工房です。
かねてから飛鳥ファクトリーのマスタービルダー八塚悟と軽井沢彫シバザキの柴崎雅彦さんは親しい関係性にありました。「これ以上ない極上の桜ギターを作る」という構想の中で、軽井沢彫を入れる案が浮上し、柴崎さんへ相談することになりました。
軽井沢彫シバザキの柴崎雅彦さんはこう話します。
「今回手がけたギターの彫刻にはヘッド、ボディともに『枝垂れ桜』をイメージしました。桜の彫刻が仕上がるまでには『ノミ打ち』から始まり、様々な刀を使い分けます。点描のような点々は『星打ち』という技法、これにより、さらに桜を際立たせました。二色の濃淡で彩色した桜の花が、サクラ材の贅沢なギターを一層華やかに出来たと思います。」
「今回のギターは、ギターづくりのディバイザーと桜の彫刻を得意とする軽井沢彫のいわば真骨頂。誰も見たことのない稀なギターが完成しましたので、是非手にとってみてください。」


ノミ打ち

花の輪郭、葉の輪郭をそれぞれ削り出すためのノミ打ち。木槌で叩くことが前提のため、柄が極端に短い。

さらい

ノミ打ちされた境界を彫る。花びらと葉が立体的に浮き上がる。

星打ち

先端が3つの点になっている道具を用いて周囲に点を打つ。これにより花がさらに引き立つ。

ボディとネックに桜材を採用。中でもボディには非常に希少なフレイム杢を持ったもののみを使用しました。また、サクラ材をネックに使用することは本モデルが初となります。指板とピックガードには無垢で紫色の木肌が印象的なパープルハートを使い、桜の持つ色のイメージを表現しました。

ピックアップにはMojotone TL ATQ60を搭載。バランス良くTLスタイルの太い低音感を出力するピックアップです。サクラ材との相性も非常に良く、あっさりし過ぎない、心地よい粘りのあるトーンが魅力です。

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