創立15年のSTRが送り出す500本目のカスタムショップベース


STR Guitarsは高品質の手工ギターを手掛ける有限会社飛鳥の工場長、八塚悟が完全オーダーメイドのブランドとして2006年に開始しました。2021年はSTRブランドの15周年、そして販売元の株式会社ディバイザーの創立30周年となる節目の年となります。15周年の記念として、そしてこれまで積み重ねてきたベース製作技術の一つの集大成として八塚悟が作り上げた入魂の1本を発表します。


DLS647.5 #500



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Features


STRのCustom Shopベースとして500本目となる本モデルは、飛鳥工場秘蔵の最上級マテリアルを使っているのはもちろん、これまでに無い独自のコンセプトでデザインされた複雑なインレイワークを施しています。「材」、「デザイン」、そして卓越した「技巧」が三位一体となった、まさにメモリアルモデルといった一本となりました。


「突き抜ける衝撃」をテーマにしたインレイワーク



様々な困難に溢れ閉塞感のあるこの現代の世界を、音楽の力で突き抜ける。―そんなテーマでデザインされたインレイワーク。STRが製作されている工場、飛鳥(=飛んでいる鳥)の象徴でもあり、特別なモデルのインレイに度々登場してきた飛翔する鳥が、ボディの前面から裏面に掛けて突き抜ける様子を貝を使ってデザインしました。 ヘッドのトップには敢えてブランドロゴを入れず、ガラスを突き破るインパクトを描写。破片が崩れ落ちていく様を指板上で表現しています。



選り抜かれたマテリアル




現在ますます入手が困難な極上グレードのキルテッドメイプルをボディトップ、バック、ボディコア、そして指板までにも採用。500本目のSTR Custom Shop Bassに相応しいまさにワン&オンリーな仕様となりました。複雑なデザインのインレイワークはアバロン、白蝶貝、黒蝶貝を用いて作られています。キルテッドメイプルには敢えて塗装を施さず、自然のままの杢の美しさを強調しました。複雑なインレイを塗装の着色の力を借りずに完璧に仕上げるには高い技術力が求められます。



見直された演奏性




様々なユーザーからの意見を反映しネックのシェイプをこれまでよりもスリムな形状に見直しました。ナット幅もこれまでSTRの6弦モデルで多く採用されていきた58㎜から55mmへと変更。合わせてブリッジの弦間ピッチも17.5mmに変更し、スリムになったネック形状と合わせてトータルのバランスで優れたプレイアビリティを追い求めました。ピックアップには数多くのプロベーシストから信頼されるNordstrand Dual Coilを採用。キルテッドメイプルのカバーでボディとマッチングさせています。



バーサティリティ抜群のコントロール


400Hzと800Hzで切り替えが出来るMiddle EQが含まれたAguilar OBP-3の3バンドEQは非常に高い汎用性を持っています。 更に2機のNordstrand Dual Coilピックアップはそれぞれ個別でパワフルなシリーズモードと深みのあるパラレルモードで切り替えが可能。この一台で非常に多様な音楽のジャンル、現場にフィットします。



より詳細な仕様に関しては下の製品ページをご覧ください。



Movie





Memorial Models

STRではこれまでもシリアルナンバー100本毎の節目に記念すべきメモリアルモデルを製作してきました。材の選定やインレイデザインなどその当時に出来るベストを尽くして製作しています。これまでに製作されたメモリアルモデルをご覧ください。



STRベース新シェイプ開発中!


本年は記念モデルの他にSTRとして数年ぶりとなる新しい型式のベースモデルを開発中です。ボディとネックのバランスや演奏性を見直して、2020年よりプロト品を開発を続けてきました。近日中に公開予定となります。




Interview


STR職人の八塚悟にブランドの15周年と今回製作した500本目のカスタムベースに関してインタビューを行いました。


八塚悟プロフィール

1977年生まれ。 19歳の時に株式会社ヘッドウェイに入社、エレキギターの製作行程に加わる。最高技術責任者である百瀬恭夫の下で学びながら職人として成長し、1999年に百瀬がHeadwayアコースティックギターの生産を再開するにあたり、それまで百瀬が担当していたエレキギターの仕事を引き継ぐこととなる。

その後エレキギターの生産行程において重要な仕事を担うこととなり、特注や新製品開発などの高度な技術が必要とされる業務を担当する。2002年に開始したMomoseブランドでは初期ロットのおよそ1000本くらいまでの生産において木工を担当する。

2004年には、新工場「飛鳥」を立ち上げ、工場長として全体の工程管理を行う。その傍ら自身の名を冠したSTRブランドを2006年に開始。オーダーメイド・ブランドとして妥協を許さないギター造りを続けている。その技術はアメリカ・LAのレジェンドであるギタービルダーJames Tylerに認められ、「James Tyler Japan」シリーズの製造も担っている。


―今年はSTRブランドの15周年となります。15年前はどのような気持ちでブランドを始めましたか?


工場の仕事では仕様が決まっていてある程度の量産する製品を作ることが通常ですが、そうではなくもっと一本一本個性的で、拘りを詰めこんだものを作りたいという気持ちがありました。そういった思いが発端となってお客様や楽器店の要望にひとつひとつ応じながら製作する完全オーダーメイドのラインとしてSTRブランドを立ち上げました。販売側であるディバイザーのスタッフとも相談し、思い切って自分の名前(※悟 = Satoru)から派生させたブランド名にしました。それからは、その時々で入手できる材の中で一番良い物を使い、材料の面でも技術の面でも、飛鳥工場で出来る最高峰の楽器を作りたいという思いを胸に製作を続けています。 一本一本違う仕様の楽器で、毎回魂を込めながら製作に打ち込んでいます。




―15年前と今のSTRの楽器を比べると、どんな違いがありますか?


15年前と比較すると技術力も高くなってきているのであらゆるところが進化していると思います。例えばSTRには基本となるボディ形状が数種類ありますが、その全てが年月を経るにつれて少しずつ変化してきています。お客様や現場の声を聞きながら要望を取り入れ、より演奏しやすい楽器になるように微調整を繰り返してきた結果です。 昔のSTRしか弾いてみたことの無いお客様は、是非最近のSTRも弾いてみてほしいと思います。そういった思考錯誤の末に辿り着いた最新形として新しいボディシェイプのベースモデルを発売準備中で近日中に発表の予定です。また、加工の面だけでなく塗装の技術やアイディアも年々進化してきており、レリック仕上げや額縁の塗装など、以前には無かった技法、バリエーションも増えています。



―Custom Shop製として500本目となるベースモデルが完成しました。当初からこれだけの本数を作るということは意識していましたか?


オーダーメイドが前提で一つ一つの製品が全部異なるワンオフ品というブランドの性質上、その都度1本1本に向き合って製作をすることに全力投球してきたので数を積み上げるという意識は全くありませんでした。500本に至れたのは、評価してくださった楽器店やユーザーの皆様のお陰です。またNAMMやMUSIC CHINAといった海外の展示会への参加を通じて海外からも注文を受けることが増えてきたことも一つの要因かと思います。これからも一本ずつ積み重ねていく中でもっと沢山の人にSTRの楽器を知ってもらいたいと思っています。



―500本目のベースであるシリアルナンバー500番はインレイも多く非常に凝った造りをしています。どういったポイントにこだわって製作しましたか?


インパクトのある一本にしたいという思いからとにかくデザインには拘りました。インレイの担当者にイメージを伝えて、やり取りを何度も繰り返しながら少しずつ固めていきました。一本作るのにこんなに時間を掛けて良いのかとも思いましたが、その甲斐もあって満足のいく一本になったと思います。また今回敢えて色を入れずにナチュラルカラーで仕上げたのも拘りです。ギター製作者以外には中々わからないと思いますが、色を入れるとインレイ周りの木工加工で多少のミスがあっても、着色によって隠すこともできます。ナチュラル仕上げだとそういったごまかしが効かないので、とにかく全神経を集中させて作業しました。このベースを入手した方には入魂のデザインと、人工的な味付けの無い貝とキルトメイプルの自然の美しさを堪能してほしいですね。
また、今回は色々なユーザーの意見も反映してネックのシェイプも微調整しました。これまで製作してきた6弦ベースと比較すると少しナット幅が狭く、ネックの厚みも薄めにリシェイプしています。ネック内部の補強もこれまでの6弦モデルに使用していたチタンからカーボンに変えるなど、強度をそこなわずに軽量化することも狙っています。
時間をかけたのはもちろん、特別な一本にするために職人としてやりたかったことを、最高の材を使って、現在出来るベストを尽くして実現した一本です。もしオーダーで同じようなものを作って欲しいと言われてもこればかりは対応出来ないと思います(笑)。ディバイザー大商談会2021にて出展されますので、多くの方に見て頂きたいですね。




Interview2



15年の歴史

2006年

飛鳥工場の工場長八塚悟が中心となって製作するオーダーメイドに特化した最高級ラインとしてSTRブランドがはじまる。

2007年

アメリカ、カリフォルニア州で毎年開催される世界最大の楽器見本市Winter NAMMに初出展。海外市場へと進出する。

2009年

ヨーロッパ最大の見本市、ドイツフランクフルトのMusicmesseに初出展。

2014年

楽器フェアにてSTR Sierra Seriesの参考出展。以来レギュラー製品が始まる。

2014年

上海で行われる楽器見本市Music ChinaにSTRブランド単独での出展。中国、アジア市場への足掛かりとなる。

2016年

STRの10周年を記念した特別モデルを楽器フェアにて発表。

2018年

LAのレジェンドギタービルダーJames Tylerのデザインによるエレキギターモデル「JTG Design」が発売。

2019年

ドイツ、マンハイムにて開催されたエンドユーザー向けのイベントGuitar Summitに初出展