素材
アコースティック・ギターは、そのほとんどの部分が木材で出来ています。木の鳴りを引き出す事で豊かな音色を生み出します。ところが、木の素材、加工方 法、ボディやネックのサイズ、その他多くの要素によって、共振=鳴りは異なってきます。そこで、素材である木の素材特性を活かし、いかに豊かな鳴りを引き 出すかが、アコースティック・ギター製作上の永遠のテーマであり、それこそがギター製作の本質です。
素材として木材を使用する場合は次の3点が特に重要になります。
1.樹種 2.木目 3.乾燥
<樹種>
木材の種類=樹種によって大きく素材の特性は異なります。また同じ種類の木材でも産地によっても特性は変化してくる為、まず求める音質や、使用する部位に適した樹種を選択する事が重要です。
~ヘッドウェイで使われる主な木材~
■シトカ・スプルース:主にアメリカ西海岸を産地とするマツ科の木材。反応の良いしなやかでありながら強度も高い素材。若干硬質なクリアーで粒立ちの良い音色が特徴。ボディートップに使用。
■イングルマン・スプルース:シトカ・スプルースに比べ若干柔らかく、豊かな振動が得られます。音質も若干マイルドで繊細。広がりのあるサウンドが楽しめます。ボディトップに使用。
■アディロンダック・スプルース:北米東部に分布。レッド・スプルースと呼ばれることもある。良く響き音量も大きく、弾き込む程に倍音が増していく、パワフルでクリアーな音色が特徴的。良質な材は入手困難であり、主に高級材としてボディトップに使用。
■ホンジュラス・マホガニー:中米ホンジュラスを原産とする乾いた抜けの良い音色が特徴の木材。他のマホガニーと比べ特にバランスが優れている為人気があるが、現在では希少になっている。ネック、ボディバックに使用。
■インディアン・ローズウッド:インド南部原産のマメ科の木材。豊かな低音域から美しい高音域までワイドレンジな音色。硬質な為に倍音が豊かで、ボディバックの材料としてホンジュラス・マホガニーと人気を2分する。ボディーバックに使用。
■エボニー:東南アジアが主な原産地。非常に硬く、指板、ブリッジなどに使用する高級材です。音質面でも低音から高音まで優れたバランスを発揮してくれます。指板、ブリッジに使用。
■マグノリア:日本の材”朴の木”。外観は、淡い白色の心材と緑色の辺材との明瞭な境界線が特徴的。フレイム杢を有する個体を使用。材質は少し固めで、歯切れの良く艶やかな中音域が魅力。主にサイドバック材に使用。
■サクラ:日本に馴染み深い”桜材”。山桜やソメイヨシノなど様々な品種の桜材を使用しています。材質は粘りがあり、適度に硬質。その音は明るく粒の揃った印象を受けます。主にサイドバック材に使用。
<木目・木取り>
木材はさらに、同じ樹種であってもどの部分をどの様に切り出すか(木取り)によってまったく違った素材特性となります。
良質な素材を使用してもこの木取りが正しく行われなければその素材特性を最大限に引き立てることは出来ないばかりか、様々なトラブルの原因となる場合もあります。大量生産ではこれらの違いを考慮して製作する事は非常に困難です。
<乾燥>
ヘッドウェイでは最高の乾燥状態を得る為に、湿度、温度、時間を綿密に管理した乾燥プログラムによって乾燥が行われています。