【ディバイザーがゆく!ギターショップ巡り】番外編~「信州ギター祭り」出展モデル製作の舞台裏

本記事では、10月3日〜4日に開催される信州ギター祭を控え、出品製品を製作している飛鳥工場に潜入!仕上がった製品に関してはすでに特設サイトにて公開中ですので、工場内の製作ぶりをお届けいたします。ボディを大きく削る加工作業などは、過去の記事などでもご紹介してきましたので、今回はあまり目に触れない地道な作業を繰り返し行っているところなどを織り込みながら、ハンドメイドギターが出来上がっていく流れの一部をお伝えしたいと思います。
ショーモデルにふさわしい木材がずらり


製作現場に移る前に、こちらは木材のストック部屋です。トチや桜などの和材からバックアイバールなどの希少なエキゾチック材を収納しています。ボディのトップ材用に加工される前の大きな材のものもあります。1ピースで使用することも出来る大きさなので、どうやって使うか楽しみですね。
では、製作中の飛鳥工場に行ってみましょう!
ネック編①~木工加工


こちらではネックの加工をしていますね。一旦手を止めて、寸法通りにできているか確認しながら作業を進めます。

その後、指板を貼り付けてから指板にラウンドが付くように削ります。指板のラウンドに合わせた刃物が数種類あるので、モデルに合わせて刃物を取り替えて加工していきます。

こちらでは指板サイドにバインディングを貼っています。一見バインディングが無いようにも見えますが、これは指板と同じ材を使用しているからです。バインディングがあるとフレットの足が隠れますので、経年変化でのバリが出にくく弾きやすいですね。樹脂系の素材に比べて指板との馴染みが良いので剥がれにくいのもメリットです。


次はベルトサンダーで指板面を仕上げていきます。サンダーのベルトの下にネックがあり、操作している板には指板のラウンドに合わせたくぼみがついており、これにより指板が丸く仕上がります。指板面を仕上げたらフレットを打ち込みです。フレットを指板面に合わせたラウンドをつけ丁寧に打ち込みます。

フレットを打ち終わったら指板サイドの仕上げです。フレットサイドが立ちすぎていると弾いていて指に当たりやすくなり、反対に斜めに落としすぎると弦落ちしやすくなるため慎重に削ります。
ネック編②~研磨工程


ここからは塗装を行うための研磨作業を見ていきましょう。こちらはネックのグリップを加工中で、仕上がり状態を職人が手触りで確認しながら行っています。


ナットの取り付け作業です。少し大きめの状態からサイズを合わせて削ります。写真のように、幅や高さを何度も確認してタイトな状態に仕上げて取り付けています。


最後はネックグリップの仕上げ作業です。先ほどよりも細かい目のペーパーで手作業で仕上げていきます。このようにいくつもの段階を追った工程を積み重ねて、手に馴染むグリップになっていきます。まさにハンドメイドのなせる技と言えます。
ボディ編~細部に息づく職人技

こちらではボディの加工を行っており、外周を削っています。刃物の回転に対して順目で削る時はスムーズですが、逆目に削る時は小口が荒れないようにゆっくりと削ります。こういった加減でビルダーの経験が生かされるところがハンドメイドの優れている点です。


ボディ裏にヒールカットの加工をしています。取り付けている治具(ジグ)の台にヒールカットに合わせた角度に傾斜が付いており、治具にボディをセットするとボディが斜めに固定されます。画像では少し分かりにくいですが、加工の前後を比べるとヒール部分がカットされています。

同じ治具を使いジョイントプレートを落とし込むための窪みが削られてきます。この後の研磨作業や塗装の工程でも窪みがあると作業しづらいので、こういった仕様にするメーカーは少なく、プレイヤー目線に立ち演奏性にこだわるMomoseならではの特徴の一つになっています。

ボディでもネックと同じように、段階を踏んで研磨作業が行われます。こちらはセミホロウボディのモデルですが、Fホールも丁寧に磨かれていきます。


研磨までの工程が終了し、信州ギター祭りに出展されるモデルのボディがずらり。この後いよいよ塗装作業に入ります。
材の魅力を引き出す塗装工程

ここからは塗装ブースからお届けします。写真では、塗装前の目止め作業を行っています。木材の導管に目止め材を擦り込み、導管の凸凹を無くして平面にします。

続いて、塗装面の凹凸をならしていく作業が行われます。先ほど加工していたネックジョイントプレートの窪みが作業しづらいため、慎重に進めていきます。

写真はメイプル指板のフレットに塗料が乗らないようにマスキングしている途中です。マスキングせずに塗装して後で塗装を剥がす方法もあるのですが、こちらの方法の方がより綺麗に仕上げることができます。

下塗り後の乾燥中。着色されるのはこの後になります。


写真左は、ピックアップキャビティにノイズ処理のための導電塗料を塗ったところです。ボディ表面まで塗られてしまっていますがこの後削り落とすので大丈夫です。写真右のモデルは、トップ材の生地に直接着色が行われています。先ほどご紹介した目止めをせず、生地に直接着色材を刷り込むと杢が引き立ちやすくなります。


こちらは着色後の上塗りをスプレーガンで吹いているところです。塗装を終えたネックのヘッドトップには、八ヶ岳をデザイン化した信州ギター祭り用のMomoseロゴが付されます。会場にお越しいただいた際は、このロゴを目印に自分だけの一本を探してみてください!
サウンドの要となる組み込み工程

ここからは組み込みの準備に入ります。セットされるネックに合わせてボディ側のポケットを微調整しています。この作業があるからネックポケットがタイトに出来ているんですね。


続いてはこちらは、指板とフレットを磨いているところです。写真右ではナットも磨いています。磨き上げられ、光沢のあるナットは、演奏時のプレイアビリティはもちろん、丁寧に作業されていることを実感していただけます。


ピックガードの取り付け位置を決めていきます。セットするネックの取り付けた振りに合わせてピックアップ、ピックガード、コントロールパネル、ブリッジの位置を決めていきます。1本ごとに慎重に行われるため、ハンドメイドならではの精度に仕上がります。ビスの取り付けの仕上げは手で増し締めをします。


最後に、写真ではピックアップの高さを調節しています。スケールで弦からの距離をチェックして、音を出して耳でも確認しています。ここまでの工程を各職人が分業して担うことで、個体ごとに生まれる差をなくし、常に高い品質のギターを生み出しています。
これ以外にもギター製作にはもっと沢山の工程があるのですが、今回の記事を通してギターに込められたハンドメイドへのこだわりを少しでも感じていただければ幸いです。どのように出来上がったかは、信州ギター祭り特設サイト、そして実際の会場でぜひ手に取って弾いてお確かめください!
