桜材の種類

桜材を使ったギター製作

本物の桜材を用いたディバイザー「桜ギター」は2014年にHeadwayブランドから初めてのモデルが発売されて以来話題を呼び、現在ではアコースティックギターのHeadwayブランドを中心に、ディバイザーの各ブランドの人気シリーズの一つとなっております。

桜と一言で言っても様々な種類があり、これまでヤマザクラ、ソメイヨシノなど多種多様な桜材を使ってギターを開発してきました。本記事ではこれまでにディバイザーがギター製作に使ってきた桜材の一部をご紹介致します。

山桜(ヤマザクラ)

▲山桜(ヤマザクラ)

山桜は非常に硬質でメイプルに似た性質の木です。木色はやや赤みの入った黄褐色で時間が経つにつれピンク色みが増してきます。Headwayブランドの桜ギターでは一番使われることの多い材で、サウンドは中低域にピークがあり甘いトーンを響かせます。桜材の中では最もベーシックな材の一つです。

ソメイヨシノ

▲ソメイヨシノ

言わずと知れた桜「ソメイヨシノ」、木材としては流通量が少なくとても貴重です。木質は粘りがあり山桜ととても似ておりますが見た目は青みがかった色が入っているのが特徴です。音響特性としてはソメイヨシノは中域に特徴のある甘いトーンで、どこか日本人の淑やかさを感じさせます。

枝垂れ桜(シダレザクラ) 

▲枝垂れ桜(シダレザクラ)

柔らかに枝が枝垂れる姿が特徴的な桜です。枝垂れ桜は一般的に木材としての流通量は極少数で希少性の高い材です。木質は非常に密度が高く重く堅い木で加工の難易度は高めです。桜材の中では一番の密度を誇る枝垂れ桜は、アコースティックギターに使用した際には力強い低音と堅い木質から来る輪郭のある高音域が特徴となります。木材として決して派手な杢ではありませんがその控えめさも風情があります。

水目桜(ミズメザクラ)

▲水目桜(ミズメザクラ)

水目桜はカバノキ科の木ですが木材の質や見た目が桜に似ており水目桜と呼ばれております。水目桜は硬質で耐久性があり松本市の伝統工芸「松本家具」でよく使われている木材でもあります。硬質で杢の入りやすい木で加工は難しい部類に入ります。ギターにした際はその硬質な木質は力強いアタック感と芯のあるサウンドに桜材特有の甘さもある音になり、美しい見た目と力強いサウンドを両立した一本となります。

朱里桜(シュリザクラ)

▲朱里桜(シュリザクラ)

朱里桜は元々材として安定しており加工がし易く見た目にも綺麗な桜として知られていますが、今回使用する朱里桜はその中でも特別な材で、北海道にある東京大学大学院農学部の演習林にて伐採された木を使っています。人の手によって管理された林であるため、適切な択伐により木自体がまっすぐ上に伸びる事で木目も不自然な曲がりなどがない美しい木目になっています。他の桜材と比較するとクリアかつ腹に響くような低音が特徴です。

椨桜(タブザクラ)

椨桜(タブザクラ)

椨桜はクスノキ科の木材ですが、木質や見た目が桜材に似ており通称「椨桜」と呼ばれております。通常の桜よりも硬度が高く乾燥が非常に難しい木で楽器にするには一筋縄ではいきません。
アコースティックギターに使用した際、クスノキ科特有の堅さは非常に力強い芯のあるサウンドが特徴で他の木には出せない特徴ともいえます。見た目には複雑な木色と深いフレイム杢が入り乱れ独特の美しさを魅せます。

神代桜(ジンダイサクラ)

土砂崩れなどの理由により千年以上の長い年月を超えて腐敗せずに地中に埋まってきた木材のことを畏敬の念を込めて「神代木」と呼びます。この神代桜は秋田県の鳥海山麓で掘り出された物ですが、東北大学の研究の結果、これは起源前466年に鳥海山が噴火した際の起こった山崩れにより埋没した樹齢300年の大木であり、それから約2500年間埋められていたものと判明しました。
この非常に貴重な材を使用して製作したギターを2020年のOne Day Guitar Showにて出展しました。詳しくは以下のリンクからご覧ください。

▲HD-SC’20/JINDAIZAKURA
▲HF-SC’20/ZINDAIZAKURA

上で紹介したのはディバイザーがこれまでに使用した桜材の一部になります。これまでに製作してきたモデルの一覧を下のページにてご覧ください。(バナーをクリックするとページに移動します。)